おじさんヒヨコの無線雑記

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zoom RSS IC-821の修理

<<   作成日時 : 2017/05/16 21:27   >>

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 移動運用にと思い、先日オークションで入手したIC-821が壊れてしまいました。
エージングを行っている最中の故障なので、想定内といえばその通りなのですが、やはり面倒くさいことになったというガッカリ感は拭えません。

 症状は、U/V共に音声が全く出なくなり、近くで送信してもSメータが全く振れないという状態です。
何となく調子が悪いというような再現性のない症状に比べて、こうしたはっきりした故障は原因が特定しやすいので、その点では不幸中の幸いです。
気を取り直して、仕事の合間を見ながら修理に着手することとなりました。

■初見〜電源回路の不良〜
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 内部の電源電圧が異常なのはすぐに分かりました。
上の回路図で赤丸をつけてある、9Vのラインに13.8Vの電圧がそのまま出ていました。

 このICは9Vのレギュレータですが、1番ピンが入力で、2番ピンが出力です。

<9VレギュレータICを取り外した後の基板>
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<取り外したレギュレータICとコンデンサ>
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 電源用のICがこんな壊れ方をすることがあるのか、やや疑念はありましたが、とにかく原因をはっきりさせるために、IC交換を前提にしての単体テストを行いました。周囲の電解コンデンサは、これが原因ではないとは思いましたが、経年劣化があるかもしれないので、ついでに取り外しました。
 面実装のコンデンサの取り外しはそれほど難しくはないのですが、スルーホール実装のレギュレータICの取り外しは気を遣いました。両面基板ならまだいいのですが、どうやら多層基板らしく、スルーホールを壊してしまうと取り返しがつかなくなります。
 ICのピンを切断して一本ずつ抜くという手も考えられますが、このICに限っては足を切断する余地がない実装で、結局4つのランドを同時に加熱しながら慎重に引き抜くことでうまく行きました。

 レギュレータIC単体で電源を与えてみると、出力にみごとに9Vが現れました。全くの正常です。
ついでに、コンデンサの容量も測定したところ、こちらも正常でした。
どうやら故障の原因はこの周辺にはなさそうです。
(早まって交換用のICを発注してしまっていましたが、まあうれしい誤算です。)

<9Vレギュレータ周辺を復元>
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 取り外したICを再実装しました。取り外した電解コンデンサは、容量抜けはありませんでしたが、半田ごてで加熱等を行っているので、新品に交換しました。手持ちの関係で面実装ではない部品を使っています。

■原因を特定!
<MAIN基板からDISP基板への接続回路>
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 9Vのレギュレータが正常なのは確認できましたが、再実装後も故障は直っていません。となると、この基板から先の回路に問題がありそうです。

 9V電源があるMAIN基板からは、いくつかへの基板に電源が供給されていますが、上の回路図で印をつけたケーブルの抜き差しを行うと、あっという間に故障が直ってしまいました。

<MAIN基板からDISP基板への接続コネクタ>
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 これが問題のケーブルの末端ですが、回路図と見比べると、13.8Vと9Vが隣り合っていますので、コネクタの中でケーブルがずれてこの2つの電源ラインがショートしてしまったと考えられます。

■FFC不良
<MAIN基板からDISP基板への接続ケーブル>
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 原因も特定でき、万事解決と思い蓋を閉めようとしたところ、今度は正面パネルでの操作が効かなくなるという別の症状が現れました。

 先ほどのケーブルが、ずいぶんと傷ついているのは気になっていたのですが、どうやら反対側も含めてすべてをチェックしておくべきだったようです。

 両端のコネクタともケーブルを抜いてみると、末端の保持用の青いプラスチックがはがれて取れてしまいました。接点自体は傷んでいなかったので、青いプラスチックをボンドで貼り付けて再装着したところ、無線機の機能が完全に復旧しました。

 このケーブルとコネクタが壊れやすいことは分かりましたので、念のために新品のケーブルを予備で購入しておくことにしました。一般的には「FFC」と呼ぶケーブルらしいのですが、個人が店頭で買うようなパーツではないとは思いながらも、通販ですらなかなかドンピシャの物は見つかりませんでした。
 結局、長さ違いの200mmのものが10本300円程度で見つかったので、発注を掛けておきました。おそらく使うことはないと思いますが、もしもの時の安心代と思えば安いものです。

 無線機の蓋を開けたついでに、いろいろな点検・調整が出来れば申し分ないのですが、測定器がテスタくらいしかないので、内部の清掃と目視点検を行う程度で蓋を閉じました。

 移動運用での使用前に、とんだトラブルでしたが、自作の無線機でのQSOを楽しんでいた頃のような、ちょっぴり楽しい時間を過ごすことができました。

 次は、移動用アンテナの製作と、車への実装が待っています。



(2017年6月7日追記)

■さらなる故障が発覚〜430MHzのパワーが出ない
 オークションで落札をした時点から、430MHzでのパワーが10Wしか出ない(定格は20W)ことは承知していましたが、サテライトで使う目的では10W出ていれば十分だと思い、不問にしていました。
 ところが、いざループバックのテストをしようと、衛星通信帯での送信を行ったところ、パワーが1Wすらも出ていないことが判明しました。

 調べてみたところ、433MHzくらいの周波数ではたしかに10Wくらいの出力が出ていますが、衛星用の436MHzくらいの周波数になると出力が出ません。
 もともとがジャンク品の無線機なので、多少の不具合はごまかしながら使うつもりでいましたが、肝心の衛星周波数帯で送信できないのではさすがに困りました。

 この予想外の故障により、当局の移動運用デビューはまたもや先延ばしとなってしまいました。

■電源回路の故障を発見
 特定の周波数帯のみで出力が出ないというのは調整不良も疑われましたが、満足な測定器もない環境で闇雲にいじるより、まずは部品の不良を疑い地道に検査をしていくことにしました。
 すると、"PAT9"という、送信時にVHFのPAユニットに供給される9V電源が、受信時にもONになりっ放しだということを突き止めました。
 この記事の前半部で記したように、この無線機は電源回路の13.8Vと9Vをショートさせてしまっており、他の電源回路が壊れていたとしてもちっとも不思議ではありません。

<Q42のスイッチングトランジスタが不良>
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 回路図を見ながら基板上の部品を追うと、PAT9をスイッチングするRN2425というトランジスタ(Q42)が短絡状態なのを見つけました。
 写真で赤丸が付いているのがその部品ですが、その隣にある同じトランジスタ("RE"とプリントされている)と比べると焼け焦げているようにも見えます。

 このトランジスタを取り外し、"PAT9"の電圧を確認すると、受信時に出ていた9Vは出なくなっていました。トランジスタ単体をテスタであたってみても短絡しているように見え、この部品の不良はほぼ確定です。

 このRN2425というトランジスタは個人では入手しづらい部品ですが、今回は急ぎでもあったので、IC-821に引き続いて落札した、ジャンク品のIC-820から取り外して移植を行いました。(IC-820については今後このブログでご紹介したいと思っています。)

 RN2425については通販で購入しておくことにしましたが、100個単位でないと買えない状態でしたので、バラ売りも可能なRN2426という型番の物を10個注文しました。
 その他にも、TC7W08FというCMOSロジックICが壊れているらしいことも突き止めたので、これも併せて注文です。(重要な回路ではないので、修理は後回しです。)

■再調整
<J23をGNDに落として調整中>
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 Q42を交換すると、"PAT9"が正常になりましたが、今度は送信電力が全く出なくなってしまいました。
 トラブルの連鎖でいやになりかけましたが、調整のずれを疑い"J23"というALC信号のチェックピンをGNDに落としてみたところ、突然出力が現れました。どうやら"PAT9"の電源異常のせいで、ずれた状態で出力調整がなされていたようです。

 試行錯誤の結果、ちょっとまだ怪しい部分はあるものの、なんとかパワーが出るようになりました。
 最初は10Wしか出なかったUHFも、ちゃんと20W程度出るようになり、頑張った甲斐がありました。こうした自作気分を味わえるのも、アマチュア無線の楽しみですね。

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