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zoom RSS ASQサテライト八木の調整

<<   作成日時 : 2017/07/30 20:39   >>

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 移動運用のために、先日JO2ASQ局のサテライト八木を作ってみましたが、作りっ放しでUHF用のSWRがやや高いままでしたので、調整を行いました。(VHF用は作りっ放しでも大丈夫でした。)

 調整は、やみくもにエレメントを切り詰めて行っても難しいと思いましたので、「4NEC2」というアンテナシミュレータの助けを借りて、事前にある程度のあたりをつけた上で行いました。

 このアンテナは、ASQさんが「MMANA」というシミュレータを使って既に最適化を済ませているものではありますが、あえて「4NEC2」を使ったのは、QFHアンテナのシミュレーションをずっとこれで行って来たため使い慣れていたということと、あとは異なるシミュレータでの結果がどうなるかという技術的興味の両方からです。


■まずは結論から
 結論から先に示しますと、下図のように3本のエレメントの長さ調整を行ったところ、良い結果が得られました。
(オリジナルの図は、ASQさんの製作記事から頂戴いたしました)
画像

 図では、調整(1)と調整(2)の2ステップになっていますが、(1)はアンテナの製作直後にラジエータの切り詰めを現場にて行った簡易なもので、(2)が今回のまじめな調整になります。


■調整の方針
 このアンテナは、基本的に作りっ放しで大丈夫かと思っていたのですが、いざSWRが思ったように下がらないとなると、何をいじっていいのか分からずちょっと困りました。

 以前ASQさんにお会いした時に、調整は「放射器と第1導波器の間隔を調整して行う」というふうに教えてもらったように思ったのですが、ちょっと記憶に自信がなかったので質問しようと思いましたが、まずはその点も含めてシミュレーションを行ってみることにしました。
(2017年8月1日追記)
この点につきご本人よりお答えをいただきました。「50Ωで給電するには、放射器と第1導波器の間隔を1/4波長より狭くするとよい」との主旨だったとのことで、調整ではなく設計段階の話だったようですね。


 このアンテナの構造的にエレメント間隔の調整は難しく(コの字チャンネルにネジ止めでエレメントを固定しているため)、せいぜいがエレメントホルダのアクリル板のネジ穴を削る程度でしか対応ができません。
 そのため、エレメント間隔をいじるとしても、数ミリ程度のものですが、シミュレーションをしてみたところ、その程度の変化では極端なSWRの変化はないようでした。
 となると、エレメント間隔は一切いじらずに、エレメント長の調整のみで済ませた方がシンプルになると考え、それを調整の方針としました。

 また、SWRを下げることのみを目的としましたので、利得や指向特性については全く検討を行っていません。


■調整前(オリジナルの状態)
 調整前のオリジナルの状態でのシミュレーション結果を示します。

<SWR特性>
画像

 この特性は、実測値ともかなり似通っていて、シミュレーションの精度にも期待が持てそうです。

<スミスチャート>
画像

 4NEC2に、スミスチャートの作成機能がありましたので、これも見てみました。
 スミスチャートについては、私もほとんどなじみがありませんが、プロット位置が中心に近ければ近いほどマッチングが取れており、SWR1に近づくという程度の理解で十分かと考えています。

 図は、SWR特性と同じく、425MHzから445MHzまでをプロットしたものですが、周波数が低い箇所で中心に近づきマッチングが取れている様子がよく分かります。ピンク色の円は小さいほどその周波数でのマッチングが良好であることを表しますが、図中の437MHzの点を通る円では、SWR2.5程度であることが示されています。


■調整後1(現場での簡易な調整)
 製作直後に現場で放射器を切り詰めた、簡易な調整後の状態です。
 上に書いた通り、オリジナルのままでは同調点がかなり低い周波数でしたので、ダイポールアンテナと同様に、エレメントを切り詰めたら高くなるかと思い、行った調整です。

 左右の放射器を3ミリずつ、計6ミリを切り詰めたのですが、思ったほど同調点が動いたような様子がなく、もっと切り詰めが必要なのかとも思いましたが、結果的には切り詰めなくて正解でした。後からシミュレータで放射器のさらなる切り詰めを行ってみましたが、同調点が上がってくる傾向はなかったからです。

<SWR特性>
画像

 6ミリも放射器を短くした割には、オリジナルの状態と比べて、あまり特性が変わっていません。現場での調整時には、多少なりともSWRが下がったように感じていたのですが、このシミュレーション結果によれば、むしろSWRは悪くなっているようです。

<スミスチャート>
画像

 こちらも、オリジナルの状態とあまり変わりはありません。


■調整後2(シミュレータで最適化した状態)
 放射器の切り詰めのみでは調整しきれないというシミュレーション結果が出ましたので、次に第1導波器の切り詰めで調整が可能かをシミュレートしましたが、これでも結果は今一つでした。

 そこで、第2導波器もいじってみたところ、これが非常に効果的に働くということが分かりました。
 放射器、第1導波器、第2導波器とエレメントが3つにもなればいろんな組合せが考えられるわけですが、今回は現物の加工がなるべく少なくて済むような寸法を選びました。シミュレーションの結果が実測と一致するかどうかもこの時点ではまだ分かっていないので、うまく行かなかったときには、簡単に元の長さに復元できるようにしたかったためです。

 特に、放射器は作り直しが面倒なので、なるべく寸法はいじりたくありません。これはこれ以上いじらず固定とすることにしました。
 一方、導波器は単なる単管なので、こちらの作り直しは簡単なのですが、なるべく加工が少なくて済むに越したことはないので、今回は第2導波器を第1導波器に付け替えれば済むような寸法を選びました。
 そのうえで、第2導波器のみをパラメータとして最適化を行ったところ、以下のような満足のいくシミュレーション結果を得ることができました。

<SWR特性>
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 希望中心周波数の437MHzできれいにSWRが下がりました。

<スミスチャート>
画像

 全体的に中心に寄った軌跡となり、帯域がブロードとなっていることが読み取れます。


■実測の結果は良好!
 新たな寸法で切り出した第2導波器を持参し、フィールドでの調整に臨みました。その結果、同調周波数はシミュレーション結果の437MHzよりやや低めのようでしたが、バンド内でのSWRは十分に低く、ほぼシミュレーション通りの改善が確認できました。

 この後、何度か移動運用で使用しましたが、設置条件が異なっても、毎回安定して使用ができています。


■利得と指向特性は?
 今回の調整は、とにかくSWRの改善を目的としたので、利得や指向特性には一切気を配っていません。
とはいえ、性能がガタ落ちでは困りますので、調整前後でのシミュレーションを行い確認をしてみました。

<調整前(オリジナル)>
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<調整後(最終)>
画像

 フロント利得やF/B比が多少悪くなっていますが、ほぼ影響のない状態です。

 各エレメントの寸法図をみるとわかるのですが、第2導波器を切り詰めたために、第3〜5導波器との寸法が逆転しています。これらのエレメントの調整も行えば、さらにビームパターンの改善が期待できるのかもしれませんが、今回はそこまでの手間はかけないことにしました。


■(参考)VHFのシミュレーション結果
 VHFのアンテナは、完全に無調整で使えましたが、こちらも4NEC2でのシミュレーションを行い性能の検証をしてみました。
実測とよく似たシミュレーション結果を得ることが出来ました。

<SWR特性>
画像


<スミスチャート>
画像



このシミュレーションで用いたNECファイルは、以下にてダウンロードできます。
https://www.dropbox.com/sh/94k1rtmdnjz4vda/AABzhaBiWWi7MxGnRZfnxXTca?dl=0
4NEC2のインストールが必要ですが、興味のある方はお試しください。

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